絵の楽しみ方

今回は、絵の楽しみ方の話をします。

もうすでにあなたは、いろいろな方法で絵を楽しんでいるとは思いますが、あらためて見つめなおしてみることで何か発見があるかもしれません。

一つ目は、お金もあまりかからず、ラクに楽しめる方法。

二つ目は、ハマると結構やみつきになる方法。

三つ目は、これぞ究極!?憧れのあの方法。

それでは、いってみましょう。

テレビや画集で絵を楽しむ

まあこれは、手っ取り早く、取っ付きやすい。

テレビは、1週間の中でも美術家や作品をテーマにした番組はありますね。

特番でも女優さんが美術家にまつわる場所や美術館を訪ねたり。

大体、開催される美術展覧会とのタイアップで放送されたりすることが多いです。

画集は、小さめの薄い画集だとそれほど値段も張らず、手に取りやすいですね。

最近Kindleなどでも安い本があったり。

作家の略歴やエピソードなんかの記載もあるので、その作家を知るには結構いいです。

図書館を利用するならタダですし。

お金もあまりかからず、家にいながらラク~に楽しめます。

ラクなんですけれども、絵を「知る」ということでは、これが案外深い。

テレビ番組や画集の解説では、作家の人生や人となり、作品の制作された背景を知ることができます。

美術をより深く楽しみたい、教養としても学びたい、そんな場合には最適な方法でもあります。

さらに掘り下げたい場合は、インターネットでいろいろ調べたり、美術書もあります。

美術書はいわゆる専門書だけではなく、わりと読みやすいものもあります。

雑誌でたまにテーマを絞って出される別冊なんかも写真が大きく綺麗でいいですね。

美術館で絵を楽しむ

さあさあ、美術好き、アート好きの休日はやっぱりこれでしょう。

美術館特有の静かな落ち着いた雰囲気の中で絵を観る楽しみは格別です。

そんな美術館のプラスアルファの楽しみ方としては、ギャラリートークがあります。

ゲストなどを迎えて話を聞いたりするもので、事前にホームページなどで日時を調べて参加してみると理解が深まります。

美術館の学芸員が会場を回りながら説明してくれるガイドツアーもおすすめ。

イヤホンで説明を聞くものも大きな企画展示だとよくありますね。

これは3年に一度になりますが、横浜トリエンナーレなど現代美術のアートが街の様々な会場で展示されるようなアートイベントも結構楽しいものです。

ちょっと大人の知的エンターテイメントという感じでしょうか。

美術館の楽しみはもちろん、実際に絵画の実物を「観る」ことです。

テレビのモニタや画集の写真ではなく、生の、本物の、絵画です。

絵画はモノ、物質ですから、物理的な距離を移動してその前に立たないと観れません。

キャンバスに表わされた色と形、そしてその質感――絵具などの画肌はマチエールといいます――そうしたものが一体となってある種の精神性を宿し、観る者に迫ってきます。

これは生でないとわからない。

生でないといけません。

絵画を「観る」。

私たちはふだんあらゆるものを「見る」ということをしていますが、絵画を「観る」ということはそれとは違います。

人はそこにある精神的なものを観ています。

美を観ています。

そして、美術館に行って絵を観ることは、単に観ることに止まらず、それはひとつの意識的な「体験」なのです。

だから楽しいのです。

絵を買って楽しむ

これはある意味、ひとつの究極的な楽しみでしょうか。

絵を「買う」。

絵を所有してしまいます。

実は絵とひと口に言っても、油絵、日本画、水彩画、アクリル絵画、広い意味で言えば、版画(リトグラフ、銅版画、木版画など)、ポスターのようなものまであります。

美術展覧会などで売っているポストーカードなどをちょっと飾っておく、ということは案外多くの人がしているかもしれません。

また、数千円程度で額つきの少し大きめのものが売っていることもありますね。

自分の部屋にたとえ小さくても「お気に入り」の絵を飾るというのは、ちょっと気分をアゲてくれるものです。

また、ご自分の家を持った、建てた、という場合に、玄関やリビングに絵を飾りたいという欲求はわりと広く理解されているのではないでしょうか。

均一な面である壁に、絵を掛ければ、そこに「」が出現し、風景だったり、花だったり、具象、抽象問わず、ある空間ができます。

毎日、じっくり観るということはなくても、そこにあるだけでなんだかしっくりくるようになります。

テレビや冷蔵庫だって毎日の生活に欠かせないものですが、やはり絵はそれとはちょっと違いますね。

でも、お高いんでしょう?

「絵画=高額」というイメージは確かにあります。

著名な画家の作品だと、数百万円、数千万円、ニュースになるのは過去の巨匠の作品が驚くような高い値段で売買されたというようなものです。

でも私が美術業界に関わるようになって、その意識がまず変わりました。

とくに私が一流の画廊や百貨店のお得意様などをお客様にしているようなギャラリーではなく、インターネットでの販売をしていたせいもありますが、数万円~20、30万円という絵画も多く流通しています。

日本人の平均年収が400万円程度である今、一般的なお仕事をされている場合ですと、その位の価格のものが無理なく購入できる範囲かとも思います。

絵の買い方などについては、また別の機会にお話します。

絵を「買う」と何がいいのか?

まず、その作品に惹きつけられて、気に入って、買った、所有した、という愛着と満足感が味わえるでしょう。

そしてある年月を共にし、生活の一部、人生の一部としての関係ができていきます。

絵は物質だけれども、精神的なものでもあるので、所有した人の感情や思いを反映します。

絵に表現されたものを感情で受け取るということもありますが、それと同じくしてあなたの感情が絵に投影されることもあります。

その関係性とは「対話」に他なりません。

絵を所有することは、絵と対話していくことです。

あなたも絵に話しかけてみませんか?

3つの絵の楽しみ方のまとめ

ここまで、3つの絵の楽しみ方をご紹介いたしました。

一つ目は、テレビや画集で絵を楽しむ方法。

二つ目は、美術館で絵を楽しむ方法。

三つ目は、絵を買って楽しむ方法。

これは、絵を「知る」「観る」「買う」という楽しみ方です。

もちろん絵を「描く」という楽しみ方もありますが、誰でもというわけにはなかなかいかないと思いますので、今回ははずしました。

やってみようという方は是非チャレンジしてみてください。

折に触れていろいろな方法で絵を楽しんでほしいと思います。

きっとあなたの人生が豊かなものになるでしょうから。