ドラマやマンガで描かれる画家ってこんなイメージでしたよね?
一方で貧乏な画家のイメージもあるかもしれませんが、昭和の成功した画家って大体こんな感じでしょう。
なんとなく自信ありげで、ちょっと偉そうなイメージ。
では、誰でも絵を描けば、キャンバスや絵具といった物質にイキイキとした精神性を感じさせることができるのでしょうか?
絵を描けば、それはアート?
アンリ・ルソーという画家がいます。
19~20世紀のフランスで、アカデミックな美術教育を受けず、またそのテクニックもありません。
日曜画家、アマチュアの画家にすぎなかった彼の絵を、ピカソをはじめ他の画家達が絶賛しました。
この他にも、アウトサイダー・アートと呼ばれるような職業画家ではない絵の描き手による作品に芸術性が見出されることはあります。
もし絵がすべて美術品とされるなら、子供が描いた絵が片っ端から美術館に収蔵され、美術館は絵であふれかえってしまいます。(まあ子供の絵も別の意味でそれはそれで素敵ですけど)
画家も同じです。
さらにプロの中で一握りの画家が、第一級の美術家として、時代を超えてその作品とともに評価されます。
この一連の段階には、歴然としたレベルの違いがあります。
いい絵は、誰が決めるのか?
そのレベルの評価は誰が下すのか?
もちろん美術評論家やオークションなど美術市場での評価額などもありますが、おおきく言えば、それは観る者の評価です。
作品の鑑賞者。
絵というのは、作品を観る人がいて、はじめて作品として成り立ちます。
誰かが洞窟で素晴らしい絵を描いたとしても、土砂で埋まってしまい日の目を見なければ、それは絵として、美術品としては成り立たない。
作品を介すれば、画家と鑑賞者の力関係は対等とも言えるかもしれません。
レオナルド・ダ・ヴィンチはもうとっくの昔に亡くなりましたが、モナリザは今でも微笑んでいます。
今の彼女にとっては世界中から観に来てくれている鑑賞者の方が大切でしょう。
あなたと絵の物語
絵を眺める。
観る者と絵が時間をかけて関係をつむいでいければ、それは一つの物語になります。
絵を所有する喜びとは、こういうことではないでしょうか。
絵を前にして、満足げにパイプの煙をくゆらせるのにふさわしいのは、むしろ鑑賞者であるあなたかもしれません。